スペイン通信最大手テレフォニカが独携帯電話サービス大手Eプルスを買収する計画をめぐり、競争上の問題があるとして欧州委員会が調査を進めている問題で、欧州委は11日、テレフォニカから譲歩案が提示されたことを明らかにした。提案の具体的な内容は不明だが、欧州委は6月23日までに買収認可の是非について結論を出す方針を示している。
テレフォニカは昨年7月、オランダ通信最大手KPN傘下のEプルスを総額85億5,000万ユーロで買収することで合意した。Eプルスは加入者数で独3位の携帯電話サービス会社。テレフォニカが傘下の同4位O2とEプルスを統合して誕生する新会社は、ドイツテレコム傘下のTモバイル、英ボーダフォンを抜いて業界1位に浮上する。
欧州委は昨年12月、買収計画を認めるとドイツで独自の通信ネットワークを保有する大手携帯電話サービス会社が4社から3社に減り、大手による寡占化が進んで健全な競争が阻害される恐れがあるとして、本格調査に着手。今年2月にテレフォニカに異議告知書を送付していた。
テレフォニカ独子会社の広報担当はロイター通信に対して、「第2四半期中に買収認可が得られると確信している」と述べるにとどめ、欧州委に提示した譲歩案の具体的な内容については言及を避けた。ライバル社や市場関係者らの間では、テレフォニカは一部資産の売却に加え、独国内の通信網を原価で第3者に開放するよう迫られるとの見方が出ている。