欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/8/4

西欧

伊警察が野村の資産差し押さえ、シチリアでの不正取引疑惑で

この記事の要約

イタリアの税務警察は7月28日、野村ホールディングスの英国法人がシチリア地方の自治体との取引で多額の損害を与えたとして、同社の1億400万ユーロに上る資産を差し押さえたと発表した。 税務警察によると、問題となっているのは […]

イタリアの税務警察は7月28日、野村ホールディングスの英国法人がシチリア地方の自治体との取引で多額の損害を与えたとして、同社の1億400万ユーロに上る資産を差し押さえたと発表した。

税務警察によると、問題となっているのは、野村の英国法人である野村インターナショナルが2000年から06年にかけてシチリア自治州政府と行った取引。医療給付債権の証券化、政府の債務再編に関連した3件の複雑なデリバティブ(金融派生商品)取引で不正行為の疑いがあり、政府に1億7,500万ユーロの損失が生じたとして、不動産や銀行預金などの資産を差し押さえた。

同問題に関して、当時の社員4人と現地の3人のコンサルタントを取り調べており、差し押さえには7人が保有している600万ユーロ相当の不動産、現金、有価証券なども含まれているという。

イタリアでは、こうした取引の損失をめぐって自治体が銀行などを訴えるケースが相次いでいる。ミラノ市は米JPモルガン・チェース、ドイツ銀行、スイスのUBS、アイルランドのデプファ銀行とのデリバティブ取引での損害をめぐって提訴し、一審で勝訴したが、3月の控訴審で不正はなかったと判断され、逆転敗訴した例がある。

野村インターナショナルは声明で、「状況を精査しているところで、当局に協力していく」と述べるにとどまっている。