EU統計局ユーロスタットが7月31日発表した2019年4~6月期の域内総生産(GDP)は実質ベースで前期比0.2%増となり、伸び率は前期の0.4%から半減した。米中貿易摩擦の激化など世界経済の不確実性が増していることで、製造業の輸出などが影響を受け、景気が減速したとみられる。インフレ率も縮小しており、欧州中央銀行(ECB)が追加金融緩和に踏み切ることが確実な情勢となってきた。
EU28カ国ベースのGDPも前期比0.2%増で、伸び率は前期の0.5%から0.3ポイント縮小した。前年同期比ではユーロ圏が1.1%増、EUが1.3%増となったが、伸び率はそれぞれ前期の1.2%、1.6%を下回った。
ユーロスタットは国別のデータを公表していない。これまでにユーロ圏主要国の当局が発表した同期のGDP統計(前期比)によると、フランスの伸び率は0.2%で、前期を0.1ポイント下回った。個人消費の伸びが0.4%から0.2%に縮小したことが大きかった。スペインは0.5%で、前期から0.2ポイント縮小。前期に0.1%増だったイタリアは横ばいにとどまった。
ユーロ圏では景気が減速傾向にあるほか、インフレ率もECBが目標とする水準を大きく割り込む状況が続いている(後続記事参照)。ECBのドラギ総裁は7月25日に開いた定例政策理事会後の記者会見で、追加利下げと量的金融緩和の再開を検討していることを明らかにしていた。
米連邦準備制度理事会(FRB)が31日に約10年ぶりの利下げを決定するなど、世界的に金融緩和の動きが広がる中、市場ではECBが9月の理事会で中銀預金金利のマイナス幅拡大と量的緩和再開を決めるのは確実との見方が大勢だ。