ロシアの石油最大手だったユコスの株主団がロシア政府を相手に起こしていた裁判で、オランダの常設仲裁裁判所(PHA)は28日、ロシア政府に500億米ドル(372億ユーロ)の賠償金支払いを命じる判決を下した。ユコスの解体が政略によるものだったと判断した。ロシア政府は判決を不服として法的措置をとる姿勢で、原告が賠償金を受け取るまでには、さらなる紆余曲折が予想される。
ユコスは2003年にホドルコフスキー社長(当時)が逮捕された後、270億ドルの追徴課税を納めるために競売にかけられ、国有石油会社ロスネフチなどに買収された。この動きは専門家の間で、政府批判を強めたホドルコフスキー氏を公の場から追放する政府の謀略だったと解されている。
今回の裁判は、ユコスの過半数株を保有していたグループ・メナテップ・リミテッド(GML)が2005年に起こした。判決では、政府がユコスの税債務を意図的に膨らませ、解体に至らせたとの主張が全体として認められた形だ。