EBAが51行対象にストレステスト、低金利長期化で審査厳格化

欧州銀行監督機構(EBA)は1月31日、EU域内の大手銀行51行を対象とする2020年のストレステスト(健全性審査)を開始した。歴史的低金利の長期化と景況感の悪化に加え、世界情勢の不透明性や貿易摩擦の拡大がEU経済に及ぼすリスクを想定し、これまでで最も厳しい景気悪化シナリオを設定。2022年までの実質域内総生産(GDP)をマイナス4.3%と想定した。

英国は同日付でEUを離脱したが、ストレステストは移行期間に実施されるため、英銀も審査対象に含まれている。EBAは英国のEU離脱には直接言及していないものの、「貿易や地政学的状況」からEU内では景況感が著しく悪化すると予測。22年までに失業率が3.5ポイント上昇するほか、株価は先進国で25%、新興国で40%下落し、住宅価格は16%下落するとの悪化シナリオを想定した。

2年前の前回審査と同様、個別の「合否判定」は示さず、代わりに欧州中央銀行(ECB)が各行の資本目標を設定し、資本不足に陥る恐れがある銀行に資本増強を求める。審査結果は7月末までに公表される見通しだ。

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