欧州議会は1月30日、EU域内で販売されるスマートフォンなどモバイル端末の充電器について、メーカーに規格を統一させるための法整備を求める決議を採択した。消費者の利便性を高めながら電子ごみを削減するのが狙いで、欧州委員会に対し、7月までに規格統一に向けた新ルールを策定するよう求めている。
欧州議会は10年以上前から充電器の規格を統一する必要性を訴えていた。この間に大手メーカーによる自主規制の動きもあり、2009年時点で30以上あったケーブル端子の規格は現在3種類に集約されている。しかし、増え続ける電子ごみの問題に対処するには拘束力のある規制の下で規格の統一を実現する必要があると判断し、法整備を求める決議案をまとめた。
決議は賛成582、反対40、棄権37で採択された。具体的にどの規格に統一すべきかは言及していないが、米グーグルの「アンドロイド」搭載スマホなどで広く採用されている「USB
Type-C」が有力視されている。このほか欧州議会は決議の中で、充電器やケーブルの回収・リサイクル促進や、ワイヤレス充電器の互換性を確保するための対策も求めた。
米アップルは一部でUSB
Type-Cを採用しているものの、主力の「アイフォーン」などでは独自規格の「ライトニング」端子を採用しており、規格の統一が実現すると深刻な影響が及ぶ可能性がある。同社は「規格の押し付けはイノベーションを阻害し、消費者に損害を与える。規格の変更によって余計な電子ごみが発生する」などと主張し、規制の導入に強く反対していた。