欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/9/1

総合 – 欧州経済ニュース

8月のユーロ圏インフレ率0.3%に低下、約5年ぶりの低水準に

この記事の要約

ユーロ圏で消費者物価上昇率の縮小が進み、デフレ懸念が一層強まっている。EU統計局ユーロスタットが8月29日発表した同月のインフレ率(速報値)は前年同月比0.3%となり、前月の0.4%から0.1ポイント縮小。欧州中央銀行( […]

ユーロ圏で消費者物価上昇率の縮小が進み、デフレ懸念が一層強まっている。EU統計局ユーロスタットが8月29日発表した同月のインフレ率(速報値)は前年同月比0.3%となり、前月の0.4%から0.1ポイント縮小。欧州中央銀行(ECB)が目標値とする2%を大きく割り込み、09年10月以来、約5年ぶりの低水準に落ち込んだ。ECBに量的金融緩和を求める圧力が強まりそうだ。

分野別ではエネルギーが2%、食品・アルコール・たばこが0.3%の幅で下落した。サービスは0.3%、工業製品は1.2%上昇した。価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いた基礎インフレ率は0.9%となり、前月の0.8%を上回った。

ユーロ圏では7月時点でスペイン、ポルトガル、ギリシャ、スロバキアの4カ国のインフレ率がマイナスとなっている。国別の詳細は9月17日に公表されるため現時点で不明だが、イタリア統計局が同日発表した8月のインフレ率は0.2%下落し、過去最大のマイナス幅を記録。マイナスは5カ国に拡大した。

ECBは6月にユーロ圏の最重要政策金利を過去最低の0.15%に引き下げ、民間金融機関が手元資金をECBに預け入れる際の金利(中銀預金金利)をゼロからマイナス0.1%にしたほか、新たな長期資金供給オペ(LTRO)の実施を決定したが、国債購入など量的緩和は見送った。その後にドラギ総裁は、デフレ懸念が強まっていることから、追加措置として量的緩和に前向きの姿勢を示していた。

ユーロ圏では緩やかな景気回復が4~6月期にストップし、ゼロ成長に落ち込んだ。インフレ率のさらなる縮小を受けて、早期の量的緩和を求める声が強まっているが、市場ではECBが6月に打ち出した金融緩和策の効果を見極めるため、当面は同措置実施を見守るとの見方が有力。9月4日に開く次回の定例政策理事会では、低インフレへの強い警戒感を示し、量的緩和に踏み切る用意があることを改めて表明するにとどまるとみる向きが多いようだ。