欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/9/1

総合 – 欧州経済ニュース

独政府が移民規制の強化案発表、「貧困移民」阻止に向け

この記事の要約

ドイツ政府は8月27日、他のEU加盟国からの移民に対する規制を強化する法案を発表した。自国より手厚い福祉制度を目的に東欧などからやって来る「貧困移民」の急増に歯止めをかけるのが狙い。 EUでは原則として加盟国が相互に労働 […]

ドイツ政府は8月27日、他のEU加盟国からの移民に対する規制を強化する法案を発表した。自国より手厚い福祉制度を目的に東欧などからやって来る「貧困移民」の急増に歯止めをかけるのが狙い。

EUでは原則として加盟国が相互に労働市場を開放し、労働者が国境を超えて自由に移動できるようになっている。2007年にEUに加盟したルーマニアとブルガリアに関しては、移行措置として他の加盟国に就労制限の設定が認められていたが、最大7年の期限が2013年末で終了。今年1月から域内全域での就労が自由化されたため、ドイツでは社会保障の受給目当てに両国から流入する移民が都市部で増加し、懸念が広がっている。

今回発表された法案には、移民に対する失業手当や児童手当などの社会保障の給付要件を厳格化することや、在留資格を不正に取得した移民は国外退去とし、再入国を一定期間禁止すること、就職のための在留期間を6カ月までに制限すること、偽装雇用や闇労働の取り締まり強化などが盛り込まれている。さらに、多数の移民が流入し、住宅や生活扶助など受け入れに伴うコストが財政を圧迫している地方自治体に対して年内に2,500万ユーロの財政支援を実施することも決まった。

デメジエール内相は、「移動の自由は欧州統合の根幹をなすものだ」と認めたうえで、「だからといってそれに伴う問題に目をつぶるわけにはいかない」」と述べ、法案の意義を強調した。