欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/9/1

EU産業・貿易

EUが乳業にも特別支援、露の禁輸への対応で

この記事の要約

欧州委員会は8月28日、ロシアがウクライナ問題をめぐる欧米の経済制裁に対抗して発動した禁輸措置への追加対応策として、EU内の乳業事業者に対する特別支援を発表した。生鮮野菜、果物の農家に続く支援実施となる。 支援対象となる […]

欧州委員会は8月28日、ロシアがウクライナ問題をめぐる欧米の経済制裁に対抗して発動した禁輸措置への追加対応策として、EU内の乳業事業者に対する特別支援を発表した。生鮮野菜、果物の農家に続く支援実施となる。

支援対象となる乳業分野はバター、粉ミルク、一部のチーズ。ロシアの輸入禁止によって出荷できなくなった製品を3~7カ月にわたって貯蔵するためのコストをEUが補てんする。新たな出荷先を見つけるまでの時間を稼ぐと同時に、出荷が取りやめになった製品が域内に流通して供給過剰となり、価格が急落して域内の乳業を圧迫するのを防ぐ意図もある。

同支援の予算に関しては、チーズの中には保存に適さないものがあり、どれだけ支援要請があるか読めないため、とりあえず枠は設けない。具体的な支援品目など詳細は、近く固める方針だ。EU筋はロイター通信に対して、EUが負担するコストは1,000万~2,000万ユーロ程度に上るとの見通しを示している。

ロシア政府は8月初め、欧米の制裁に対抗し、EUと米国、豪州、カナダ、ノルウェー産の肉類、野菜、果物、水産物、乳製品の輸入を1年間禁止する措置を発動。欧州委はこれに対応するため、トマト、ブドウなど13品目の生鮮野菜、果物の生産者に総額1億2,500万ユーロの補助金を11月末まで提供することを18日に決定していた。

欧州委によると、昨年のEUからロシアへの乳製品輸出額は23億ユーロ。うち10億ユーロをチーズが占める。ロシアの禁輸によって、とくにフィンランド、オランダ、リトアニアなどが大きな影響を受けると目されている。