英政府は23日、EU離脱の「移行期間」が終了する2021年以降の国内金融サービス市場に対する規制の方向性を示す文書を公表した。EU金融サービス市場に引き続きアクセスできるようにするため、EUと同等の厳しい規制を採用する方針を掲げた一方で、一部に関しては独自の規制を導入する計画だ。
英国は1月にEUを離脱したが、2020年12月末までは移行期間となっているため、金融規制はEUのルールが適用される。21年以降はEUのルールから外れるが、国内の規制がEUと同等と認定されなければ、EU金融市場から締め出される恐れがある。
財務省が発表した文書は、移行期間終了後もEUを含む国際的なルールに沿った厳しい規制を維持することを強調している。ただ、保険会社を対象とするEUの資本規制「ソルベンシーⅡ」に関しては全面的に従わず、英保険市場の構造に即して部分的に「適切な調整」を行う意向を表明した。国内で柔軟性に欠けるという批判が出ていることを受けたもので、今秋から調整作業に着手する。
投資会社の資本規制については、基本的にEUのルールを踏襲するものの、投資会社側が抱えるリスクより顧客のリスクへの対応を重視するといった独自の規制を検討していることを明らかにした。このため、EUから同等の規制と認定されない可能性がある。