ロシア連邦統計局が11日に発表した2020年4~6月期の国内総生産(GDP)伸び率(速報値)は前年同期比で8.5%減少し。15四半期ぶりのマイナス成長を記録した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、政府は9%、中央銀行は8~10%の落ち込みを予測していた。農業を除く全産業分野で生産活動が振るわず、特に旅客交通が79%減、サービス業が37.2%減と大幅に後退した。
同国経済はウクライナのクリミア併合による欧米の経済制裁の影響で、2016年7~9月期まで7期連続の景気後退に陥っていた。ここ数年は回復し、19年は1.3%、今年1~3月期は1.6%のプラス成長だった。
中銀は新型コロナによる経済打撃を緩和するため、6月に政策金利を過去最低の4.25%に引き下げた。現時点で今年通期の成長率をマイナス4.5~5.5%と予測。来年は再び成長に向かうと見ている。
オランダ金融大手のINGは、同期に個人所得が8%低下していることを踏まえ、個人消費が冷え込めば企業の景況感が悪化し、また、長期的な公共プロジェクトへの財政投資に影響が出れば国営企業の事業回復がもたつくと指摘する。通年の成長率はマイナス5~6%と予測している。