独製薬大手バイエルの避妊器具「エシュア」の使用によって健康被害を受けたとして、米国の女性が起こしている集団訴訟で、同社は20日、原告の約90%と和解合意したと発表した。バイエルは6月、除草剤「グリホサート」をめぐる米国での訴訟で109億ドルを支払うことで和解したばかり。訴訟を速やかに終息させることで事業の不確定リスク要因を取り除く考えだ。
今回の和解でバイエルは約16億ドルを支払うことを取り決めた。同額には現時点で和解を結んでいない原告と、訴訟の準備をしている女性に支払う和解金も含まれている。和解金に関してはすでに引当金を計上しており、新たな財務負担は発生しない。
エシュアは切開術をせずに装着できる永久避妊器具。バイエルは米避妊器具メーカーのコンセプタスを2013年に買収し、同製品を取得した。
エシュアを使用する女性の間には出血や痛みなどの健康被害を訴えるケースが多いことから、集団訴訟に発展した。バイエルは同製品に健康上の問題はないとする立場を現在も堅持しているが、集団訴訟などで事業の見通しが悪化したことを受けて、全世界での販売を2018年までに停止した。