英・オランダ資本の食品・日用品大手ユニリーバは2日、10億ユーロを投じ、2030年までに洗剤類から化石燃料由来の原料を排除する方針を発表した。原料に含まれる石油化学製品を植物や藻などに由来する成分に置き換え、二酸化炭素(CO2)排出量を削減する。
ユニリーバでは洗濯用洗剤や洗浄剤に使用される石油化学製品のライフサイクルを通じたCO2排出量が、ホームケア部門全体の排出量の46%を占めている。同社は化石燃料由来の界面活性剤やソーダ灰(炭酸ナトリウム)などを排除し、植物や藻類など生物由来の成分に切り替えることで、CO2排出量を最大20%削減できると説明している。
新型コロナウイルス感染症の世界的流行を背景に、今年に入り洗剤の需要がかつてないほど高まっている。ユニリーバは7月に発表した第2四半期決算で、住居用洗剤「ジフ」や除菌クリーナー「ドメスト」の売上高が前年同期比で2桁の伸びを記録したことを明らかにした。
ユニリーバは原材料の調達から製造、流通、販売に至るサプライチェーンの全過程で、製品から生じる温室効果ガス排出量を39年までに実質ゼロにする「ゼロエミッション」構想を打ち出している。パリ協定では50年までに実質ゼロにするとの目標を掲げているが、ユニリーバの気候変動対策はこれを11年前倒しで達成するという野心的な内容。今回発表した化石燃料の排除は、ゼロエミッションの早期実現に向けた取り組みの第1弾と位置づけられる。
ホームケア部門のピーター・テル・クルヴェ社長は「従来品と同じ品質の持続可能な製品が求められている。手頃な価格で同等の品質であれば、消費者は環境にやさしい製品を選びたいと考えている」と指摘。10億ユーロを投じ、バクテリアや菌類などによって無機物に分解される生分解性洗剤などの研究・開発を進める方針を示した。