EU加盟国は13日にミラノで開いた財務相理事会で、低迷している域内経済のてこ入れに投資の拡大が必要との見解で一致し、投資促進に向けた枠組みの整備を検討していくことで合意した。欧州委員会と欧州投資銀行(EIB)が具体案をまとめ、10月に開く理事会で協議する。
EUではギリシャに端を発した債務危機が沈静化したが、景気回復の足取りは重い。今年4~6月期の域内総生産(GDP)伸び率は前期比0.2%にとどまり、ユーロ圏はゼロ成長に失速した。仏、伊など重債務国の財政緊縮、銀行の貸し渋りが続いていることが背景にある。
こうした状況を打開するため、欧州中央銀行(ECB)は金融緩和を進めている。しかし、このところ域内では同措置に加えて、停滞している民間・公共投資を促進することで実体経済を底上げする必要があるとの声が強まっており、ユンケル次期欧州委員長は3,000億ユーロ規模の投資プログラムの実施を提唱。ポーランド政府はEUによる7,000億ユーロ規模の「欧州投資基金」設立を提案していた。
今回の財務相理事会では、「欧州では投資が欠乏しており、これが低成長の主因になっている」(議長国イタリアのパドアン財務相)として、投資強化に取り組むことで合意。欧州委とEIBに枠組みや、投資対象となるプロジェクトの内容など具体案の策定を指示した。
ただ、投資促進に関しては、財源確保、重債務国の財政再建との両立という大きな問題が立ちふさがる。このため、ユンケル次期欧州委員長、ポーランドの案に加えて、中小企業が投資に必要な資金を調達できるようにするための新資本市場を創設するというイタリアの案や、プロジェクト債発行なども選択肢のひとつとして検討されそうだ。