EUでコロナ感染防止策強化が加速、仏はパリなど夜間外出禁止に

新型コロナウイルス感染が再拡大しているEU諸国で、感染防止対策を強化する動きが一段と加速している。フランスのマクロン大統領は14日、パリなど9都市圏で17日から夜間の外出を禁止すると発表した。オランダ、イタリアなども規制を強化している。

仏ではパリ、マルセイユ、リヨン、グルノーブル、リール、モンペリエ、ルーアン、サン=テティエンヌ、トゥールーズ都市圏で、午後9時~翌日の午前6時まで不要不急の外出が禁止される。仏の全人口の約3分の1が影響を受ける。違反者には初回で135ユーロの罰金を課す。

仏政府は5日、パリ市を中心とする首都圏の新型コロナウイルス警戒レベルを「最高」に引き上げ、バーを6日から2週間にわたって閉鎖するといった規制を導入したばかり。1日当たりの新規感染者が2万人を超える日が続き、国内の重篤患者用の病床の32%が埋まる状態となっていることから、マクロン大統領は追加で厳しい規制の導入に踏み切った。

夜間外出禁止は17日から4週間にわたって実施される。議会の承認を経て2週間の延長が可能で、最長で12月1日まで継続される可能性がある。

一方、オランダ政府は13日、飲食店の閉鎖など部分的なロックダウン(都市封鎖)を実施すると発表。同日にはイタリア政府がパーティー禁止といった規制強化を決めた。

オランダ政府は9月29日、レストランやバーなどの営業を午後10時までに制限するほか、スポーツの現地観戦を禁止し、野外イベントの人数を最大40人に制限する措置など導入した。しかし、新型コロナ感染者の増加に歯止めがかからないことから、追加対策として部分的ロックダウンの実施を決定。14日からバー、レストランの営業を禁止する。30人以上の集会、18歳以上が参加するチームスポーツも禁止となる。

さらに、家庭内でのパーティーを抑えるため、午後8時以降の酒類の販売を禁止する。家庭が招くことができる客の数も1日当たり3人以下に制限される。13歳以上を対象に屋外でのマスク着用を義務化することも決めた。

同国では13日までの1週間の新型コロナ新規感染者が約4万4,000人に上り、前週から約60%増加した。重篤患者も増え、医療体制がひっ迫しつつある。ルッテ首相は向こう数週間で状況が好転しなければ、完全ロックダウンの実施もあり得るとしている。

一方、イタリアでは14日から30日間にわたってレストラン、クラブと屋外でのパーティーが禁止される。レストランとバーは午後12時まで営業できるが、9時以降は立ったままの飲食が禁止となる。また、家庭でパーティーを開かず、6人以上の客を招かないことなどを勧告している。

イタリア政府は7日に非常事態宣言を2021年1月末まで延長し、屋外でのマスク着用を義務付けると発表したばかり。1日当たりの新規感染者が9日に5,000人を超え、3月以来の高水準に達したことから、規制強化の必要があると判断した。

このほか、ドイツのメルケル首相は14日、16州の首相とコロナ規制強化で合意したと発表した。過去7日間の感染者が10万人当たり35人を上回った地域では、人が密集する場所でのマスク着用を義務付ける。感染者が同50人を超えた場合は飲食店の午後11時以降の営業を禁止するなど、さらに厳しい規制が適用される。

ベルギー政府は先ごろ、全土のバーの営業時間を午後11時までとし、首都ブリュッセルでは全てのバー、カフェを8日から1カ月にわたり閉鎖することを決めたばかりだが、16日に規制強化を発表した。全土の飲食店の営業を19日から4週間にわたって禁止する。夜間(午前0時~5時)の外出禁止、午後8時以降の酒類販売禁止も決めた。

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