EU統計局ユーロスタットが10月30日に発表した2020年7~9月期のユーロ圏の域内総生産(GDP、速報値)は実質ベースで前期比12.7%増となり、前期の11.8%減から急回復した。前期にコロナ禍の影響で統計が開始された1995年以降で最大のマイナス成長となった反動で、過去最大のプラス成長を記録した。しかし、新型コロナ感染再拡大で多くの国が再び外出・営業制限を強化しており、回復は一時的なものとなりそうだ。(表参照)
同期は各国の制限措置が緩和され、経済が再開したことを追い風に3四半期ぶりにプラス成長となり、統計上では景気後退(2四半期以上連続のマイナス成長)から脱した。EUも12.1%増と、前期の11.4%減から回復した。データが出そろっている10カ国はいずれもプラス成長に復帰。主要国の伸び率はドイツが8.2%、フランスが18.2%、イタリアが16.1%、スペインが16.7%だった。
ただ、ユーロ圏のGDPはコロナ禍前を4.3%下回る水準。前年同期比では4.3%減と、下げ幅は前期の14.8%から縮小したものの、マイナス成長が続いている。欧州で新型コロナ感染が再拡大し、10月に入ってユーロ圏経済の中核である独仏がロックダウン再導入を迫られるなど、再び経済・社会活動を制限する動きが進む中、10~12月期はマイナス成長に落ち込む可能性が高い。