世界貿易機関(WTO)は15日、ドイツ、イタリア製の軽商用車に対するロシアの反ダンピング措置発動を不当としてEUが提訴している問題で、EUが紛争処理小委員会(パネル)の設置を要請したことを明らかにした。これによって案件は本格的な通商紛争に発展することになった。
ロシアは昨年5月、独・伊が軽商用車(2.8~3.5トン)をダンピング輸出しているとして、ドイツ製に29.6%、イタリア製に23%の反ダンピング関税を適用した。ロシアだけでなく、同国との関税同盟に加わるベラルーシ、カザフスタンも同措置を発動した。
これについて欧州委は、ダンピングに根拠はなく、同措置発動に手続き上の問題もあるとして反発。5月にロシアを提訴していた。
EUとロシアはWTOの紛争処理手続きの第一段階とて当事者間協議を行ったが、期限の60日以内に解決に至らなかったため、EUはWTOにパネル設置を要請した。
EUはロシアがEU製の新車と中古車に廃車処理税を課している問題でも、昨年7月にWTOに提訴しており、11月にパネルが設置された。