ドイツの鉄鋼系複合企業ティッセンクルップは19日、追加の人員削減を発表した。コロナ禍で業績が悪化したためで、新たに5,000人を今後3年で整理。削減規模は19年春に打ち出した6,000人から1万1,000人に拡大することになる。
同日発表した2020年9月通期決算の最終損益は55億4,700万ユーロの赤字となり、赤字幅は前期の11億5,300万ユーロから5倍に膨らんだ。新型コロナウイルス感染拡大が直撃し、鉄鋼、部品事業が低迷。特に自動車向けが振るわなかった。売上高は15%減の288億9,900万ユーロだった。
非継続事業を含む決算の純損益は95億8,500万ユーロの黒字となり、前期の赤字(3億400万ユーロ)から大きく好転した。エレベーター部門も売却で150億ユーロを計上したことが大きい。
マルティーナ・メルツ社長は業績不振の鉄鋼部門について、来春にも改革の基本方針を決定する意向を表明した。売却、提携、合併などあらゆる選択肢を視野に入れる。同部門に対しては英鉄鋼大手リバティ・スティールが買収を打診している。一方、金属労組IGメタルはリバティによる買収に反対。政府の資本参加を要求している。