欧州銀行監督機構(EBA)は2日、EUの銀行の貸倒引当金に関するルールを弾力的に運用することで、コロナ禍で苦境に陥り、融資返済が厳しくなっている企業・個人を救済する措置を再開すると発表した。域内で新型コロナウイルス感染が再拡大し、ロックダウン(都市封鎖)など経済社会活動を再び引き締める動きが進んでいることから、9月末に終了していた同措置を復活させ、2021年3月末まで実施する。
EBAは期限を90日以上過ぎても返済されない融資について、銀行に貸倒引当金を計上することを義務付けている。しかし、コロナ禍で返済が滞るケースが増えていることから、返済が遅れた融資の引当金を計上しなくてもいいようにする措置を4月から9月末にかけて導入していた。
同措置にはコロナ禍で打撃を受けた事業者や個人の融資返済を猶予すると同時に、銀行の貸し渋りを防ぎ、経済への資金供給が滞らないようにする狙いがある。
EBAは同措置再開に伴い、適用対象の融資の種類を増やす一方で、返済猶予期間を最長9カ月に限定する。また、銀行に対象の融資が不良債権化するかどうかを厳しく査定するよう求める。