英国で8日、米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬品会社ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルス用ワクチンの接種が始まった。西側諸国では初の接種。米食品医薬品局(FDA)も11日に同ワクチンの緊急使用を許可しており、14日にも米国で接種が開始される見通し。ただ、英国では接種直後に重篤なアレルギー反応が2例報告されており、英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は、過去に深刻なアレルギー反応を起こしたことがある人にはワクチンを接種しないよう呼びかけている。
ファイザーとビオンテックのワクチンは治験で95%の効果が確認されており、英政府は世界に先駆けて今月2日に緊急使用を承認した。同ワクチンは約1カ月の間隔を空けて2回接種するタイプで、主にファイザーのベルギー工場で生産している。英国には4,000回分(2,000万人)が供給されることになっており、医療従事者、介護施設の入居者とスタッフ、80歳以上の高齢者などに優先的に接種する。
英メディアによると、強いアレルギー反応を起こしたのはいずれも国民保健サービス(NHS)のスタッフで、過去にワクチンに対する激しいアレルギー反応を示した経験があった。現在は2人とも回復しているという。
MHRAは9日、過去に医薬品や食品でアナフィラキシー(全身的な急性アレルギー反応)を起こしたことがある人へのワクチン接種を避けるよう、医療機関に勧告するとともに、接種前の問診で過去にアレルギー反応が出たことがないか確認するよう求めた。1回目の接種後に重篤なアレルギー反応が出た場合も、2回目の接種を受けるべきではないと説明している。
一方、ファイザー幹部は11日、米疾病対策センター(CDC)の独立諮問委員会で英国での事例について説明を行い、治験段階ではワクチン接種後にアナフィラキシー症状が出たケースはなかったと報告した。ただ、過去にワクチンに対する激しいアレルギー反応を起こした人は後期治験に参加していなかった。