英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)と仏サノフィは11日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、臨床試験(治験)で高齢者の免疫反応が弱かったため、実用化が2021年第4四半期にずれ込むとの見通しを明らかにした。
両社の声明によると、初期段階の試験で18歳~49歳の被験者では十分な免疫反応を示したが、高齢者では反応が弱かった。当初は12月中に最終段階の第3相試験を開始する予定で、21年半ばの実用化を目指していたが、治験結果を受けて計画を見直す。
サノフィによると、抗原を改良したうえで21年2月に後期第2相(第2b相)試験を行い、良好なデータが得られれば、4~6月期に大規模な第3相試験に入る。順調に進めば夏以降に承認申請を行い、10~12月期には供給を開始できるとの見通しを示している。
両社は「治験の結果は期待していたものではなかったが、パンデミックに対応するには複数のワクチンが必要だ」と強調し、実用化に向けて引き続き開発を進める方針を示した。
GSKとサノフィのワクチンは米政府の開発支援策「ワープスピード作戦」の対象となっており、研究開発や治験などのため総額21億ドルの資金支援を受けている。これまでに米国に1億回分を供給する契約を結んだほか、EU向けに最大3億回分、英国には6,000万回分、カナダにも7,200万回分を供給することで正式合意している。