2021/1/25

EU情報

EU首脳が移動制限厳格化で一致、ワクチン証明書は継続協議

この記事の要約

EUは21日、オンライン形式で首脳会議を開き、新型コロナウイルス感染拡大への対応について協議した。英国で最初に確認された変異ウイルスへの懸念が広がる中、物流を確保するため国境の閉鎖を避ける一方、EU全体で不要不急の移動制 […]

EUは21日、オンライン形式で首脳会議を開き、新型コロナウイルス感染拡大への対応について協議した。英国で最初に確認された変異ウイルスへの懸念が広がる中、物流を確保するため国境の閉鎖を避ける一方、EU全体で不要不急の移動制限を厳格化することで一致した。ワクチン接種者に発行する証明書についてはEU共通の基準を策定することで合意したが、ギリシャなどが求めている証明書による渡航制限の緩和など、医療目的以外での活用に関しては慎重な意見が多く、議論を先送りした。

感染拡大が収束しない中、各国政府は外出制限や時短営業の期間を延長するなど感染防止策を強化している。欧州委員会のフォンデアライエン委員長は会議後の記者会見で、変異ウイルスの感染が拡大しつつあり、医療提供体制がひっ迫しているとして、「深刻な状況を考慮し、国内および国境をまたぐ不要不急のあらゆる移動を推奨しないようにすべきだ」と強調。そのうえで、必要不可欠な人流や物流の確保など単一市場の機能を維持するため、国境を閉鎖すべきではないとの考えを示した。

昨年春の第1波の際は各国が独自に国境管理を導入した結果、物流が寸断された経緯があり、そうした事態の再来を避けるためにもEU全体で移動制限を厳格化する。一方、フォンデアライエン氏は第三国からEUへの必要不可欠な渡航について、事前検査の義務付けなど「追加的な安全措置」を求める方針を示した。

ワクチン接種証明に関しては、ギリシャやスペインなど観光業の盛んな国が証明書によって域内の自由な移動を認める「ワクチンパスポート」の導入を求めている。EUではこれまでに2種類のワクチンが承認されて接種が始まっているが、供給の遅れなどで計画通りには進んでいない。ワクチンを確実に確保できるのか不透明感が増す中、フランスなどはパスポート構想に懐疑的だ。マクロン大統領は、ワクチンは自発的な接種が原則であり、証明書が移動の自由を保証することになれば差別につながりかねないと指摘。さらに、ワクチン接種で周囲に感染させる可能性がなくなるかどうかは現時点で不明であり、多方面から注意深く検討する必要があると強調した。