欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2021/1/25

EU情報

夏までに成人の7割がワクチン接種、欧州委が加盟国に勧告

この記事の要約

欧州委員会は19日、新型コロナウイルス感染拡大の収束に向けた行動計画に関する文書を採択した。加盟国に対して、夏までに成人の70%以上がワクチン接種を終えるよう勧告している。欧州委はワクチンについて、まず80歳以上の高齢者 […]

欧州委員会は19日、新型コロナウイルス感染拡大の収束に向けた行動計画に関する文書を採択した。加盟国に対して、夏までに成人の70%以上がワクチン接種を終えるよう勧告している。

欧州委はワクチンについて、まず80歳以上の高齢者と医療・介護関係者の80%以上が3月末までに接種を完了することを加盟国に勧告。さらに、夏までに成人の少なくとも70%が接種を終えるよう求めた。

EUは現時点で英アストラゼネカ、米ファイザーと独ビオンテックの連合、米モデルナ、仏サノフィと英グラクソ・スミスクライン(GSK)の連合、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)傘下のヤンセンファーマ、独キュアバックと新型コロナワクチン調達で正式契約した。23億回分を確保した格好だ。これまでに承認されたのはファイザー連合とモデルナのワクチンだけだが、両ワクチンでEUの人口の80%以上をカバーできる。ファイザー連合のワクチンは本格接種が始まっている。

ただ、生産の遅れなどで接種は予定通り進んでおらず、2回必要な接種の1回目を受けた人は500万人程度にとどまっている。

欧州委はメーカーの工場への投資などによってワクチン生産能力を増強し、3月末までに十分な量を各国に供給できる体制を整えたい考えだ。フォンデアライエン委員長は「夏までに成人の7割が接種を完了すれば、コロナとの戦いの転機になる」と述べ、目標達成の重要性を強調した。

このほか行動計画には、感染力が強い変異種のウイルスによる感染を防ぐため、各国にPCR検査で陽性となった人のうち少なくとも5%を対象に遺伝子配列解析を実施することを勧告。ワクチン接種を終えたことを示す域内共通の証明書を発行することなども盛り込まれた。