英の変異ウイルスは「死亡率も高い可能性」、英首相が発表

英国のジョンソン首相は22日の記者会見で、英国で感染が広がっている新型コロナウイルスの変異株について、「従来株より感染力が強いことに加え、死亡率も高い可能性を示す証拠があるとの報告を受けた」と述べた。これまで重症化率や死亡率が従来株より高いとは言えないとされてきたが、変異ウイルスは既に60カ国・地域で確認されており、変異による強毒化への懸念が高まりそうだ。

会見に同席した政府のバランス首席科学顧問によると、60代男性の場合、従来型のウイルスによる死亡率は感染者1,000にあたり10人程度であるのに対し、変異ウイルスでは13~14人に上るという。この試算に基づくと、変異ウイルスの死亡率は従来株より30%以上高いことになる。さらに他の年齢層でも同様の傾向がみられたという。ただ、バランス氏は「数字には不確実な部分も多い」と述べ、さらに細かく検証する必要があると強調した。

英国では米ファイザー/独ビオンテック製と英アストラゼネカ製のワクチン接種が進められているが、バランス氏は変異ウイルスにも従来のウイルスとほぼ同等の効果があるとの見方を示した。一方、南アフリカとブラジルと確認された別の変異ウイルスに関しては、「ワクチンが効きにくい可能性を示す特徴があり、懸念している」と述べた。

英国の変異ウイルスは昨年9月にロンドンやイングランド南東部で確認され、その後、世界各地に感染が広がった。同ウイルスは従来のウイルスと比べて感染力が最大70%強まっているとされ、世界保健機関(WHO)によると、今月17日時点で日本を含む60カ国・地域で確認されている。

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