欧州中央銀行(ECB)は21日にフランクフルトで開いた定例政策理事会で、金融政策の維持を決めた。ECBは12月に追加の量的金融緩和を決めたばかりで、今回の決定は予想通り。
ECBは12月の政策理事会で、新型コロナウイルス感染再拡大による景気悪化が避けられない情勢となっていることを受け、国債、社債などの資産を購入する「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」と、「TLTRO」と呼ばれる長期資金供給オペ(金融機関が融資を増やすことを条件に低利で長期資金を供給するオペ)の拡充などを決定した。
PEPPは購入枠を5,000億ユーロ上積みし、1兆8,500億ユーロとするとともに、実施期限を21年6月末から22年3月末まで延長した。ユーロ圏の銀行に最低マイナス1%の超低金利で長期資金を供給するTLTROについては適用期限を1年延長し、22年6月まで実施することを決めた。
今回の理事会では、量的緩和を維持するほか、主要政策金利を0%、中銀預金金利をマイナス0.5%に据え置くことを決めた。
ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、ユーロ圏で新型コロナウイルスのワクチンの接種が開始されたことは「(コロナ禍終息に向けた)重要な節目だ」としながらも、依然としてコロナ禍がユーロ圏、世界経済にとって「重大な脅威」になっていると指摘。PEPPを新型コロナ危機が終息するまで継続するとともに、必要に応じて資産購入枠を拡大する用意があることも明らかにした。
ユーロ圏では物価下落が続いており、インフレ率は12月まで5カ月連続でマイナスとなっている。コロナ禍の影響で消費が停滞していることに加え、ユーロ高・ドル安が進んで輸入コストが下がっていることも大きい。ラガルド総裁は物価下落の一因としてユーロ高を挙げ、懸念を示しながらも、具体的な対応には言及しなかった。