英の対EU問題責任者が交代、フロスト元首席交渉官に

英政府は17日、EUと同国の自由貿易協定(FTA)などをめぐる交渉で首席交渉官を務めたデービッド・フロスト氏を国務相に起用すると発表した。3月1日付で就任し、EUとの間で今後に生じる問題に関する協議で英国側の責任者となる。

フロスト氏は外交官出身。英ジョンソン政権下でEUとのFTAなど離脱交渉の責任者と務めた。ジョンソン首相は現在、同氏をEU問題の顧問に切ろうしていたが、国務相として入閣させ、EUと直接交渉する権限を与えた。

英政府では1月からゴーブ国務相がEUとの協議の窓口となっていた。その役割をフロスト氏が引き継ぎ、北アイルランド問題に関する合同委員会の英国側の委員長と、離脱協定の履行を担うパートナーシップ評議会の共同議長を務める。

英国では離脱協定に基づき、英本土から北アイルランドに流入する物品に1月から通関手続きが生じ、物流が混乱する事態に直面。政府はEU側に通関・検疫規制緩和などを求めているが、協議は難航している。フロスト氏にとっては同問題の解決が目下の課題となる。

フロスト氏はジョンソン首相と同じく離脱強硬派の人物。FTA交渉では国益最優先の強い姿勢でEUのバルニエ首席交渉官と渡り合し、首相から厚い信頼を寄せられた。EUとの協議の責任者が現実主義者とされるゴーブ国務相から対EU強硬派の同氏に代わることで、北アイルランドの通関問題や、将来に新たに生じる問題をめぐる交渉がこじれる可能性がある。

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