米自動車大手フォード・モーターは17日、2030年までに欧州で販売する乗用車を全て電気自動車(EV)にすると発表した。商用車も同年までに3分の2をEVかプラグインハイブリッド車(PHV)にシフトする。世界的に「脱炭素」の動きが本格化する中、EUが30年に導入する新たな排ガス規制に対応する。
計画によると、乗用車は26年半ばまでに全車種でEVかPHVを揃えたうえで、30年までに全てEVにしてガソリン車やディーゼル車の販売を終了する。商用車は24年までに全車種でEVかPHVを用意する。
電動化を進めるため、10億ドル(約1,060億円)を投じてドイツ西部ケルンの完成車工場を刷新する。23年に同工場で初の欧州産EVの生産を開始し、2車種目のEV生産も検討する。戦略的提携を結んでいる独フォルクスワーゲン(VW)が次世代EV向けに新開発したモジュラープラットフォーム「MEB」を活用し、生産の効率化を図る。
EUは50年に域内の温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。30年に導入される排ガス規制は乗用車の二酸化炭素(CO2)排出量を21年比で37.5%削減するという内容だが、欧州委員会は50年の気候中立を実現するため、これを50%減とさらに厳格化する案を検討している。またEUの規制とは別に、英国やフランス、ノルウェーなどはガソリン車やディーゼル車の新車販売を禁止する方針を打ち出している。
こうした中、フォードは今月4日、25年までに世界全体で少なくとも220億ドルを電動化に投じると発表していた。英ジャガー・ランドローバー(JLR)も15日、高級車ブランド「ジャガー」を25年から全てEVにするほか、他のブランドも30年までに全車種をEV化する計画を打ち出した(後続記事参照)。米ゼネラル・モーターズ(GM)も1月、35年までに全ての乗用車をEVにすると発表している。