英・オランダ系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルは2月25日、仮想発電所(VPP)運営の有力企業である独ネクスト・クラフトヴェルケを買収することで合意したと発表した。シェルは温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロとする事業戦略を先ごろ打ち出したばかり。買収を通して再生可能エネルギー分野のポートフォリオを拡充していく方針だ。
VPPは小規模な分散型発電所をITネットで結び、1つの発電所であるかのように統合・制御するシステム。ネクスト・クラフトヴェルケはドイツ、ベルギー、オーストリア、フランス、ポーランド、オランダ、スイス、イタリアの計8カ国の1万カ所以上の太陽光、バイオマス、水力発電設備をネットワーク化し、取引所で販売している。従業員数は180人。
シェルは同社の買収により、再生エネ電力事業を強化する。買収金額は非公開。独禁当局の承認を経て買収手続きが4-6月期に完了すると見込んでいる。
シェルは2030年までに電力販売の規模を現在の2倍の約560テラワット時に拡大する目標を掲げている。