欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/9/29

EUその他

ダイムラーの禁止冷媒使用問題、欧州委が独政府に2回目の警告

この記事の要約

独自動車大手ダイムラーがEUの「カーエアコン指令」に反して高級車メルセデス・ベンツの一部モデルに引き続き旧冷媒を使用し、独当局も容認している問題で、欧州委員会は25日、ドイツ政府に対して2回目の警告を行ったことを明らかに […]

独自動車大手ダイムラーがEUの「カーエアコン指令」に反して高級車メルセデス・ベンツの一部モデルに引き続き旧冷媒を使用し、独当局も容認している問題で、欧州委員会は25日、ドイツ政府に対して2回目の警告を行ったことを明らかにした。独政府はダイムラーがEUルールを順守するよう、2カ月以内に必要な措置を講じなければならない。欧州委は対応が不十分な場合、ドイツをEU司法裁判所に提訴すると警告している。

EUでは温暖化防止策の一環として、2013年1月からカーエアコン用冷媒として使われてきた「R134a」などの代替フロンに代わり、GWP(地球温暖化係数:CO2の何倍の温室効果を有するかを示す値)が150以下の冷媒を使用することが義務づけられた。現時点でこの基準を満たすのは米ハネウエル・インターナショナルの「R1234yf」のみで、各メーカーは11年以降に型式認定を受けたすべてのモデルにこの新冷媒を採用しなければならない。ほとんどのメーカーは同ルールを順守しているが、ダイムラーは独自に行った試験で高温のエンジンルーム内で引火性を持つことが確認されたとして新冷媒の採用を見合わせ、規制対象となるベンツ「Aクラス」「Bクラス」「CLA」「SL」に引き続きR134aを使用している。

ダイムラーはこれら4モデルについて、当初はR1234yfの搭載を前提に新開発の車両として型式認定を受けたが、新冷媒の採用を見送る決定を下した後、これらモデルを規制が適用されない既存モデルの「改良版」として連邦陸運局(KBA)に再申請。KBAはこれを認め、新車登録を受け付けている。

欧州委は今年1月、ダイムラーが採用を拒否している新冷媒に安全性の問題はないとの見解をまとめ、独政府に規制の順守を求める正式通知書を送付した。しかし、ドイツ側はEUルールに対する違反行為はないとして是正策を講じていない。このため欧州委はEU法の義務不履行に対する訴訟に向けた第2段階の手続きとして、新たに理由付き意見書を送付した。

ダイムラーの広報担当は今回の動きに対し、同社の立場はこれまでと変わらないと強調。そのうえで、独自に二酸化炭素(CO2)を利用した新たな冷媒の開発を進めており、17年までの実用化を見込んでいると付け加えた。