欧州委員会は11日、米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)傘下のヤンセンファーマが開発した新型コロナウイルス用ワクチンのEUでの使用を承認したと発表した。EUでのコロナワクチン承認は米ファイザー、モデルナ、英アストラゼネカのワクチンに次ぐ4例目。1回の接種で済むタイプでは初となる。
EUの欧州医薬品庁(EMA)は同日、J&J製ワクチンの承認を勧告。これを受けて欧州委が正式承認した。18歳以上が接種対象となる。
欧州委は2020年8月、J&Jから最大4億回分のワクチンを購入することで合意していた。まず2億回分を調達し、必要に応じて追加で2億回分を購入する権利を持つ。J&Jは年内に2億回分を供給する予定。4月中旬から供給を開始する。
J&Jのワクチンはファイザー、モデルナ製と比べて有効性は劣るが、アストラゼネカ製と同じく通常の冷蔵庫での保管が可能。さらに、1回の接種で済むという利点は、ワクチン不足に悩むEUにとって非常に大きい。欧州委のフォンデアライエン委員長は声明で、「夏までにEUの成人の70%以上がワクチン接種を終えるという目標の達成に近づいた」と述べた。
EUが承認したワクチンの供給量はファイザーが最大6億回分、モデルナが同4億6,000万回分、アストラゼネカが同4億回分。J&Jを合わせて最大18億6,000万回分を確保した形となるが、加盟国が進める接種に供給が追い付くかどうかが大きな問題となる。