米国務長官が「ノルドストリーム2」反対を表明、参加企業への制裁も視野に

ブリンケン米国務長官は23日、訪問先のブリュッセルでドイツのマース外相と会談し、ドイツとロシアを結ぶガスパイプライン計画「ノルドストリーム2」に反対する意向を表明した。米国はエネルギー分野で欧州のロシア依存が高まることを警戒しており、ブリンケン氏は計画に参加する企業には米国内法に基づく制裁を排除しないと伝えたもよう。バイデン政権はトランプ前政権下で悪化したドイツとの関係改善を目指しているが、引き続きパイプライン計画が懸案事項となっている。

ノルドストリーム2はウクライナを迂回してロシア産天然ガスを直接ドイツに運ぶパイプライン。既に95%近く完成しており、ドイツは早期の稼働開始を目指している。しかし、ブリンケン氏は訪欧に先立ち、同計画は「欧州の分断とエネルギー安全保障の弱体化をもくろむロシアの地政学的プロジェクト」などと主張。トランプ政権下で成立した国内法に基づき、参加企業への制裁を検討する意向を示していた。

ブリンケン氏はマース氏との会談に続き、北大西洋条約機構(NATO)本部を訪問してストルテンベルグ事務総長と協議。その後の記者会見で再びノルドストリーム2に触れ、同計画はEUの利益を損ない、ウクライナを弱体化させるとの懸念を表明。「バイデン大統領の考えは極めて明確だ。パイプライン計画はウクライナやポーランド、その他多くの友好国や同盟国の利益を損なう怖れがある。欧州と米国の双方にとってまずい計画で、EUの安全保障やエネルギー目標に反すると考えている」と述べた。

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