英政府は24日、EUと金融規制での協力を協議する「共同金融規制フォーラム」の設置に向けた覚書(MOU)について、大枠で合意したと発表した。同フォーラムはEUを離脱した英金融サービス事業者がEU金融市場にアクセスできるようにするための布石となるもの。月内にMOUを正式締結する見込みだ。
英国の金融市場はEU離脱の移行期間が終了した1月からEUから切り離された。金融サービスはEUと締結した自由貿易協定(FTA)の対象外となっているためだ。英国の金融事業者はEU加盟国のうち1カ国で認可を取得すれば域内全域で活動することができる「パスポート制度」が適用されなくなり、一部の決済業務を除いてEU域内の顧客にサービスを提供できない状況となっている。
英金融事業者は英国内でEUと同等の金融規制、監督システムが機能していると認定されない限り、再びEU市場にアクセスすることはできないが、「同等性評価」の作業は遅れている。
共同フォーラムは同等性評価を進めるためのもので、英財務省と欧州委員会の金融サービス担当委員が年2回のペースで協議する。英事業者のアクセス再開に向けて一歩前進した格好なる。ただ、EU側は同等性評価の作業を急がない姿勢を示しており、早期の決着は難しい見通し。英事業者がどの程度、アクセスを取り戻せるかも不透明だ。