英ファンドが東芝に買収提案、取締役会は「検討」を表明

東芝は9日、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズから買収提案を受け取ったことを明らかにした。東芝取締役会はCVCから詳細情報を受領した場合は「慎重に検討していく」との声明を発表した。関係筋によると週内にも詳細な提案が提示される見通し。CVCは東芝の同意が得られれば株式公開買い付け(TOB)に乗り出し、株式を非公開化する方針とされる。買収額は2兆円を超えるとみられている。

東芝の永山治取締役会議長は9日の声明で、CVCの買収案は「各国競争法や外国為替及び外国貿易法上のクリアランスを得られることや、資金調達がかのうとなることなど、多くの事項が条件となる」と指摘。CVC単度ではなく、他の投資家と組むことや、金融機関からの資金調達を前提としていることなどに触れ、「検討には相応の時間を要し、複雑性を伴う」とコメントした。

東芝は原子力事業を展開しており、外資による買収や出資に際しては改正外為法の規定に基づき、政府への届け出が必要となる。東芝は社内の検討チームのほか、社外取締役や有識者などで構成する特別委員会を設け、取締役会がCVCの提案について受け入れの可否を検討する見通しだが、財務相による事前審査も焦点になる。

東芝は不正会計問題や米国の原発子会社の経営破綻で経営危機に陥り、2017年12月に6,000億円規模の第三者割当増資を実施。その後、半導体メモリー事業を売却するなど経営再建を進めてきた。しかし、この間に増資の引き受け手となった投資ファンドとの対立が先鋭化し、取締役人事や企業統治などを巡り、アクティビスト(物言う株主)との間で意見が対立していた。

CVCは1981年創業。大手外食チェーン「すかいらーく」への投資や、資生堂の日用品事業の買収などの実績がある。東芝の車谷暢昭社長は17~18年にCVC日本法人の会長を務めた。

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