料理宅配の英デリバルーに暗雲、上場初日に大幅安

料理宅配サービス大手の英デリバルーが3月31日、ロンドン証券取引所(LSE)に上場した。英国で10年ぶりの大型上場として注目されていたが、黒字化への懸念などから初日は新規株式公開(IPO)の公募価格を大幅に下回る水準で取引を終えた。

取引開始直後から売りが先行し、一時は公募価格の3.9ポンドと比べて30%安の2.7ポンドまで値下がりした。その後にやや株価を戻したものの、26.3%安の2.87ポンドで引けた。時価総額は取引開始前の76億ポンド(約1兆1,600億円)から52億ポンドまで低下した。

デリバルーは2013年に創業した新興企業。提携する飲食店の料理の宅配をオンラインのプラットフォームで受け付け、配達員が顧客の自宅に配達するサービスを英など欧州7カ国と豪州、香港、シンガポール、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)の計12カ国・地域で展開している。

同社は黒字転換していないものの、2020年はコロナ禍による巣ごもり需要で売上高が54%増加した。

上場初日が不調に終わったのは、英国など各国で新型コロナワクチンの接種が進んでいることから、社会・経済活動が正常化した後も料理宅配サービス市場の成長が続くかどうか疑問視されたのが要因。同社の創業者の持ち株比率が6.3%にとどまるものの、大きな議決権を持つ二重株式構造が英国の代表的な株価指数「FTSE100」への採用の障害となっていることや、単発で仕事を請け負うギグワーカーと呼ばれる配達員の待遇の悪さへの批判も大きかった。

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