欧州委員会は21日、気候変動など環境問題の解決に貢献する持続可能な経済活動を分類するEU独自の基準「タクソノミー」に関する委任規則を公表した。金融機関や企業にグリーン投資かどうかを判断するための詳細な基準を明示し、金融市場から投資を呼び込む環境を整備する。
委任規則は2020年6月に採択された「タクソノミー規則」が規定する、経済活動の持続可能性を判断するための6つの環境目標のうち、「気候変動の緩和」と「気候変動への適応」について細則を定めたもの。全てのEU公用語への翻訳作業を経て5月中に正式採択される見通しで、2022年1月1日から適用を開始する。
約500ページに及ぶ「グリーンリスト」は発電や製造、交通など、EU域内の温室効果ガス排出量の約8割を占める経済活動をカバーしており、風力や太陽光発電所の建設、低排出ガス車の生産、エネルギー効率化のためのシステム開発、建物の改修など、幅広い事業がグリーン投資の対象として分類されている。
争点となっていた電力部門では、石炭火力発電を一律でタクソノミーの適用外とする一方、天然ガスと原子力に関連する活動ついては結論を先送りした。天然ガスを巡っては、石炭に依存するポーランドなど東欧諸国が「移行期」の技術として当面認めるべきだと主張する。一方、フランスや東欧の一部は原発を持続可能と分類するよう求めている。
このほか農業分野に関しても、現在進行中のEU共通農業政策(CAP)に関する審議への影響を考慮して、今回のリストには含まれていない。結論を見送ったこれらの項目に関しては、委任規則の対象から外れた4つの類型—-水と海洋資源の持続可能な利用および保護◇廃棄物対策や再生資源の利用促進などを軸とする循環型経済への移行◇汚染対策◇生物多様性と生態系の保全・回復――のリストと併せて年内の採択を目指す。