フランスを本拠とする欧州の多国籍取引所ユーロネクストは4月29日、イタリア取引所の買収が完了したと発表した。ユーロネクストはミラノ証券取引所を運営するイタリア取引所を傘下に加え、欧州での基盤を大きく強化する。
イタリア取引所はロンドン証券取引所(LSE)の傘下にあった。LSEが金融情報やリスク管理などのサービスを提供するリフィニティブを買収した際、EUの欧州委員会がLSEとリフィニティブが欧州の国債の電子取引で大手となっており、LSEが買収によって同分野でのシェアを大きく拡大することなどを問題視し、認可に難色を示したことから、伊国債を中心とする債券の電子取引システムを運営するMTSを持つイタリア取引所の売却を決定。20年10月にユーロネクストによる買収で合意していた。買収額は約44億ユーロ。
ユーロネクストはパリ、ブリュッセル、アムステルダム、リスボン、ダブリン、オスロの証券取引所を運営している。伊国債の大半が取引されるMTSの支配権をめぐる伊政府の懸念に対応するため、同国の政府系金融機関の預託貸付公庫(CDP)、大手銀行のインテーザ・サンパオロと共同でイタリア取引所を買収する。CDPとインテーザ・サンパオロはユーロネクストの増資を引き受け、それぞれ株式7.3%、1.3%を握る。