欧州委員会は20日、野村ホールディングスなど金融7社が欧州の国債取引でカルテルを結び、EU競争法に違反したとして、うち野村を含む3社に総額3億7,100万ユーロの制裁金を科すと発表した。3社とも決定を不服とし、提訴の構えを示している。
制裁処分を受けたのは野村とスイスのUBS、伊ウニクレディト。制裁額はUBSが1億7,200万ユーロ、野村が1億2,957万ユーロ、ウニクレディトが6,944万ユーロとなっている。
欧州委によると、3社にバンク・オブ・アメリカ、仏ナティクシス、英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS、現ナットウエスト)、独州立銀行のウエストLB(現ポーティゴン)を加えた7社は2007年から11年にかけて、EUにノルウェーなどを加えた欧州経済地域(EEA)での国債の一次市場(発行市場)、二次市場(流通市場)での取引で、トレーダーがチャットルームを使って注文や価格を調整するなど談合していた。
欧州委はカルテルが世界金融危機に見舞われ、金融市場が混乱していた時期に行われた点を特に問題視し、容認できない行為で「EEA全体に悪影響を及ぼした」として厳しい処分を下した。
カルテルに関与した7社のうちナットウエストについては、カルテルを通報して摘発に協力したため、制裁を全額免除。バンク・オブ・アメリカとナティクシスは時効で免除となった。ポーティゴンは直近の年度の売上高がゼロだったため、年間売上高の最大10%に相当する制裁を科すという競争法のルールを適用できず、制裁を見送った。
今回の決定についてウニクレディトは、不正行為はなかったとして、欧州司法裁判所に提訴する意向を表明。UBSは過去の問題で、すでに是正措置を講じたとして提訴を検討していることを明らかにした。野村は提訴を含めた対応を検討していくとする声明を発表した。