欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2021/8/23

EU情報

タリバンとの協力は人権尊重条件、「協議は必要」=EU

この記事の要約

EU加盟国は17日、オンライン形式で緊急の外相理事会を開き、イスラム主義組織タリバンが全土を掌握したアフガニスタン情勢について協議した。理事会後の声明で、「今後のアフガン政府との協力は、女性や少数派の基本的権利の尊重、腐 […]

EU加盟国は17日、オンライン形式で緊急の外相理事会を開き、イスラム主義組織タリバンが全土を掌握したアフガニスタン情勢について協議した。理事会後の声明で、「今後のアフガン政府との協力は、女性や少数派の基本的権利の尊重、腐敗防止、テロ組織による国土利用の阻止などが条件になる」と表明した。

ボレル外交安全保障上級代表(外相)は理事会後の記者会見で、「タリバンが戦いに勝利した以上、彼らと協議しなければならない」と述べた上で、「タリバンを承認するということではない」と強調。タリバン復権を受け、EU内で女性の人権侵害や欧州への難民の流入、国際的なテロ活動の活発化などへの懸念が高まっていると指摘し、こうした問題への対応を巡り、「タリバンとできるだけ早く、話し合いのために接触する必要がある」と語った。

一方、欧州委員会のヨハンソン委員(内務担当)は18日、タリバンの復権で差し迫った脅威にさらされているアフガン人を保護するため、難民の受け入れをEU加盟国に要請したことを明らかにした。同氏は各国の政府機関などで働いたアフガン人のほか、ジャーナリストや人権活動家、非政府組織(NGO)スタッフなどが危険な状態にさらされていると指摘。こうした人々を「見捨てることはできない」と強調した。

その一方、ヨハンソン氏は犯罪ネットワークにつながる密航業者を経由して、大量の難民・移民がEU内に流入する事態を防がなければならないと指摘。難民流出が予想されるアフガン近隣国に対する支援の必要性を訴えた。