欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/10/13

EUその他

再可エネ事業支援プログラムが遅延か、7カ国が投資計画決定の延期要請

この記事の要約

再生可能エネルギー実証プロジェクトの支援プログラム「NER300」をめぐり、対象プロジェクトの投資計画の最終決定と稼働の期限を2年先送りする案が浮上している。ロイター通信によると、英国、フランス、ドイツなど7カ国の要請を […]

再生可能エネルギー実証プロジェクトの支援プログラム「NER300」をめぐり、対象プロジェクトの投資計画の最終決定と稼働の期限を2年先送りする案が浮上している。ロイター通信によると、英国、フランス、ドイツなど7カ国の要請を受け、欧州委が加盟国に期限の延期を提案しているもので、15日の気候変動委員会で採決が行われるという。

NER300はEUの気候変動・エネルギー政策パッケージの1つとして創設された低炭素技術の開発促進を目的とする資金支援のメカニズムで、財源はEU排出量取引制度(EU-ETS)における新規対象施設向け排出枠(NER)3億トン分の売却益が充てられる。これまでに二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)技術に関連した1件のプロジェクトと、バイオ燃料、太陽光発電、地熱発電、風力発電、海洋エネルギー、スマートグリッドなど再生可能エネルギー分野で40件のプロジェクトが支援対象に選定され、総額21億ユーロの投資が予定されている。

ただ、NER300から各プロジェクトに配分される資金は総コストの最大50%で、残りは各国政府の補助金や民間投資で賄う必要がある。第1弾として2012年に選定された23件のプロジェクト(すべて再生可能エネルギー分野)には総額12億ユーロが投じられることになっているが、各プロジェクトは14年末までに全体の投資計画を最終決定し、16年末までにエネルギー生産を開始することが求められている。

ロイターが入手した欧州委から各国政府充ての書簡(10月3日付)によると、7カ国は今年7月に選定されたCCSを含む18件のプロジェクトを含め(投資計画は16年末、稼働は18年末が当初の期限)、投資計画の最終決定と稼働の期限をそれぞれ2年ずつ遅らせるよう欧州委に求めている。延期が承認された場合、EUの再生可能エネルギー計画全体に影響が及ぶ可能性がある。