ノルウェー中銀が利上げ、経済再開で先進国の先陣

ノルウェー中央銀行は23日、政策金利をこれまでのゼロ%から0.25%に引き上げると発表した。ドルやユーロ、円など世界で最も流動性が高いとされる「G10」通貨を使用する国・地域の中で、新型コロナウイルス流行後の利上げはノルウェーが初めて。経済活動の再開に伴って景気回復が進み、これまでと同程度の金融緩和を維持する必要はなくなったと判断した。

中銀のオルセン総裁は声明で「国内経済は正常化しつつあり、政策金利を段階的に正常化することが適切だと示している」と指摘。「現時点での見通しとリスクバランスに関する金融政策委員会の判断に基づき、政策金利は12月にさらに引き上げられる可能性が高い」と述べた。

ノルウェー中銀はコロナ危機に対応するため、2020年に3回の利下げを実施した。他の主要国と同様、感染防止を目的とした厳しい行動制限の影響で、昨年前半は大幅なマイナス成長となったが、後半以降は数年前から続いていた住宅価格の上昇が加速。段階的な規制緩和を開始した今年4月以降は急速に景気回復が進み、経済活動はすでに危機前の水準まで回復し、昨年は2桁台に上昇した失業率も8月には2%台まで改善している。

物価上昇の基調はまだ弱いものの、住宅市況の過熱や賃上げなどによってインフレ圧力が徐々に高まっており、中銀は慎重に利上げを進めるべきだと判断した。22年末までに政策金利を1.25%まで段階的に引き上げ、23年中にコロナ危機前の1.5%を回復するとの見通しを示している。

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