欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2021/10/4

EU情報

EUが豪とのFTA交渉延期、仏との潜水艦計画破棄影響か

この記事の要約

EUとオーストラリアが10月に予定していた自由貿易協定(FTA)交渉が延期されたことが1日、明らかになった。米英豪3カ国による新たな安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」の創設に伴い、豪政府がフランスとの潜水艦共同開 […]

EUとオーストラリアが10月に予定していた自由貿易協定(FTA)交渉が延期されたことが1日、明らかになった。米英豪3カ国による新たな安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」の創設に伴い、豪政府がフランスとの潜水艦共同開発計画を破棄したことが原因とみられる。

EUと豪州は2018年にFTA交渉を開始し、年内の大筋合意を目指している。豪州のテハン貿易・観光・投資相はロイター通信に対し、10月12日に予定していた12回目の交渉が11月に延期されたことを確認した。同氏は引き続き早期のFTA妥結を目指す方針を強調し、近く欧州委員会のドムブロフスキス上級副委員長(通商政策担当)と今後の対応について協議することを明らかにした。米英の支援による原子力潜水艦の建造計画がFTA交渉の延期につながったのではないかとの質問に対しては、コメントを拒否した。

米国と英国、豪州は9月15日、インド太平洋地域の平和と安定維持を目的とする新たな安全保障の枠組みとしてオーカスの創設を発表し、原潜配備で協力する方針を明らかにした。これに伴い、豪州が16年に合意した潜水艦の共同開発計画を破棄したことを受け、仏政府は駐米、駐豪両大使を召喚。EUも新たな枠組みについて知らされておらず、「加盟国の1つが許されない扱いを受けた」(フォンデアライエン欧州委員長)などと、米英豪の対応を強く批判していた。