経営破綻した伊アリタリア航空の後継として設立された国営の新会社「イタリア・トラスポルト・アエレオ(ITA)が15日、運航を開始した。アリタリアは94都市に乗り入れていたが、ITAは規模を縮小し、当面は44都市に就航する。新型コロナウイルス禍で航空需要の低迷が続く中、採算性の高い路線に経営資源を集中し、革新的で競争力のある航空会社を目指す。
アリタリアは2001年の米同時テロ以降に経営が悪化し、近年は格安航空会社(LCC)や高速鉄道との競争で業績が低迷。17年5月に経営破綻し、伊政府の管理下に置かれた。政府はアリタリアが運航を継続するための資金として17年に9億ユーロ、19年に4億ユーロのつなぎ融資を実施する一方、売却先を模索。独ルフトハンザや英格安航空イージージェットなどが関心を示したものの、条件が折り合わず、アリタリアは完全国有化された。同社は14日に最後のフライトを終え、75年の歴史に終止符を打った。
後継のITAは政府が7億2,000万ユーロを投じ、20年10月に設立した100%出資の航空会社。発表によると、当初は52機で運航を開始し、22年に78機、25年には105機に増やして路線も拡大する。当面は国内線のほか、パリやロンドン、フランクフルト、ブリュッセルなど欧州内の主要都市、長距離路線は東京、ニューヨーク、マイアミへの運航を予定する。4年後には就航先を74都市に増やす計画で、長距離路線ではロサンゼルスや中南米への乗り入れを計画している。
機体はアリタリアから一部引き継ぐほか、欧州航空大手エアバスからの新規調達を予定している。従業員はアリタリアの4分の1ほどの約2,800人体制でスタートする。一方、ITAは競売にかけられていたアリタリアのブランドを9,000万ユーロで落札したものの、これを使用せずに「ITAエアウェイズ」として運営し、機体もイタリアのナショナルカラーである青を基調とした塗装に一新する。