EUの欧州医薬品庁(EMA)は10月25日、米モデルナの新型コロナウイルスワクチンについて、18歳以上を対象とする追加接種(ブースター接種)を勧告した。同年齢層での追加接種容認は、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンに次ぐ2件目となる。
EMAは2回目の接種から6~8カ月後に3回目を接種した成人で、低下していた抗体が増えたというデータに基づき、追加接種を勧告した。2回目の接種から6カ月以上が経った18歳以上の人を対象に認める。追加接種を実施するかどうかは、EU各国の判断に委ねる。
EMAは10月4日、ファイザー・ビオンテック連合とモデルナの新型コロナワクチンにのうち、ファイザー連合について18歳以上を対象とする追加接種を認める方針を打ち出したが、モデルナ製の追加接種に関しては臓器移植者など免疫機能に問題があり、免疫力が著しく低下している人に限定して認めていた。
メルクの経口薬は逐次審査開始
一方、EMAは同日、米メルクとリッジバック・バイオセラピューティクスが共同開発している新型コロナ感染症の経口薬「モルヌピラビル」の承認に向けた「逐次審査」を開始したと発表した。
逐次審査は感染症の世界的流行など緊急時に際して必要なワクチンや治療薬の承認手続きを迅速化するため、試験データを順次審査する制度。通常は臨床試験(治験)の最終データがまとまってから承認が申請され、審査を開始するが、同制度では承認が正式に申請される前の段階で、最終的な試験結果を待たずに入手可能なデータから順次審査を進める。このため通常より短期間で審査を完了することができる。