欧州委員会は10月27日、米半導体大手エヌビディアが英半導体設計大手アームを買収する計画について、本格的な調査を開始したと発表した。エヌビディアと競合する企業がアームの技術を活用できなくなることを懸念したもので、詳細な調査を行った上で買収の可否を最終判断する。
アームはソフトバンクグループ傘下の企業。ソフトバンクは2020年9月、アームの全株式をエヌビディアに売却することで合意したと発表していた。
欧州委は同買収をめぐり、アームが持つ知的財産権をエヌビディアが握ることで、同社のライバルである半導体企業がこれまでのようにアームからライセンスの供与を受け、同社の技術を使えるかどうか不透明だと指摘。半導体の価格上昇、選択肢の縮小、業界の技術革新が後退する恐れもあるとして、初期調査での承認を見送り、本格的な調査に入った。
エヌビディアはEUの承認を取り付けるため、10月6日に競争上の是正策を提案した。その内容は不明だが、欧州委は懸念を払しょくするには不十分として、受け入れなかった。22年3月15日までに買収承認の可否を最終判断する。
同買収については、英国の競争・市場庁(CMA)も調査を進めている。