EUが仏バルネバ製コロナワクチンを購入へ、最大6千万回分を調達

欧州委員会は10日、EUが仏ワクチンメーカーのバルネバが開発中の新型コロナウイルスワクチンを調達する契約を承認したと発表した。2022年から23年にかけて最大6,000万回分を調達する。EUによる新型コロナワクチン調達契約は8件目となる。

バルネバのワクチンは、EUで主流となっているメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンとは異なる不活化ワクチン。感染力をなくした病原体を用いるもので、同タイプはインフルエンザなどのワクチンとして数十年以上にわたって使われており、安全性が高い。

また、EU域内の企業が単独で開発した新型コロナワクチンは初めてで、EUにとっては供給面で信頼できるという利点もある。

同ワクチンは欧州医薬品庁(EMA)から承認されていないが、EUはコロナ禍の長期化を見込み、利用できるワクチンの種類を増やすため、事前購入契約を結んだ。EMAによる承認を経て、供給を受ける。22年に2,700万回分、23年に追加で最大3,300回分を調達する予定だ。バルネバによると、22年4月の供給開始を見込んでいる。

バルネバが10月に発表した臨床試験(治験)の最終段階の結果によると、同ワクチンは英アストラゼネカ製ワクチンと「少なくとも同等」の効果があり、副反応のリスクが極めて低いことが確認された。

バルネバ製ワクチンをめぐっては、英政府が約1億回分を調達する契約を結んだが、当局が使用を承認しない恐れがあるとして、21年4月に契約を一方的に破棄し、上昇を続けていた同社の株価が急落した経緯がある。EUとの契約を受けて、同日に株価は20%以上も上昇した。

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