EU保健当局の欧州疾病予防管理センター(ECDC)は24日、域内各国は全成人を対象に新型コロナウイルスワクチンの追加接種(ブースター接種)を行うべきとする声明を発表した。これまでは一般の人に緊急に実施する必要はないとの見解を示していたが、欧州で新型コロナ感染が再拡大していることから方針を転換した。
ECDCはワクチン接種を終えてから6カ月以上が経った18歳以上の成人への追加接種を勧告。とくに40歳以上を優先して実施するよう促している。
EU27カ国と欧州経済領域(EEA)に加わるリヒテンシュタイン、アイスランド、ノルウェーを加えた欧州30カ国でワクチン接種を完了した人は人口の65.4%にとどまっており、頭打ち状態となっている。本格的な冬を迎えて感染が急拡大しており、24日にはオランダ、スロバキア、チェコ、ハンガリーで1日当たりの新規感染者が過去最高を更新した。
ECDCは感染防止対策を強化しなければ、12月から1月にかけて感染者が急増し、医療がひっ迫するとして、未接種者を減らすとともに、追加接種を拡大するよう勧告した。
ECDCは9月初めの時点で、追加接種は免疫力が弱い人などに限って実施するべきとの見解を示していた。しかし、英国とイスラエルの調査で、追加接種によって全年齢層で感染と重症化のリスクを大きく減らす効果が確認されたとして、方針転換に踏み切った。
同センターの勧告に法的拘束力はなく、すでに多くのEU加盟国が一般の人への追加接種を実施している。ただ、対象とする年齢層、前回の接種からどの程度の間隔を空けるかなど基準は異なる。今回の勧告により、各国が足並みをそろえる環境が整う。