伊当局がアマゾンに巨額制裁、物流システム巡る競争阻害で

イタリアの競争当局は9日、米アマゾン・ドット・コムが市場支配的地位を乱用し、公正な競争を妨げたとして、11億3,000万ユーロの制裁金を科したと発表した。アマゾンの物流システムを利用する出品者を優遇し、競合他社に損害を与えたという。アマゾンは事実関係を否定し、不服申し立てを行う方針を示している。

イタリア当局が問題したのは、倉庫管理や配送を担う「フルフィルメント・バイ・アマゾン」と呼ばれる物流システム。アマゾンは同システムを利用する出品者の商品に「プライムマーク」を付けることで、通販サイトで消費者の目にとまりやすくし、売上増加につながる特典を提供していた。当局はこうした商慣行について、市場での独占的な立場を利用して自社の物流サービスを使うよう誘導する「悪質な戦略」と指摘した。

決定を受けてアマゾンは声明を発表し、物流サービスは完全にオプションであり、大部分の出品者は利用していないと反論。「当局の決定はまったく受け入れられない。制裁は不当で過度なものだ」と主張した。

欧州の競争当局は米巨大IT企業に対する監視を強めている。イタリア当局は11月、アマゾンとアップルが2018年から協定を結び、アマゾンのサイトでアップル製品を販売できる小売業者を制限していたとして、両社に合わせて約2億ユーロの制裁金を科している。

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