欧州医薬品庁(EMA)は17日、製薬大手エーザイと米バイオ医薬品大手バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「アデュヘルム(一般名:アデュカヌマブ)」について、販売を承認しない勧告を発表した。米国では6月に条件付きで同薬が承認されたが、EMAは臨床試験(治験)で十分な有効性と安全性が確認されなかったと判断した。これを受け、バイオジェンは同日、EMAに再審査求めると表明した。
アデュヘルムは原因物質とされる「アミロイドベータ」が脳内で蓄積するのを抑え、アルツハイマー病の進行を抑制する効果が期待される。EMAの欧州医薬品評価委員会(CHMP)は投与によってアミロイドベータの減少が認められるものの、症状の改善との関係が立証されていないと指摘。さらに患者の脳をスキャンした画像からは異常な肥大や出血を示唆する例が出ているとし、アルツハイマー病治療薬として「投与のメリットがリスクを上回っていない」と結論づけた。
米食品医薬品局(FDA)は6月、試験の継続を条件にアデュヘルムの製造販売を承認し、同月から使用が始まった。ただ、一部の治験で有効性が示されなかったことから効果に疑問の声が上がっており、外部の有識者で構成するFDAの諮問委員会は承認に反対の立場を取っていたことから、FDAによる承認プロセスを問題視する向きもある。
日本では今月22日に厚生労働省が承認の可否を審議する予定となっている。