ユニリーバ、GSK大衆薬部門の買収を断念

食品・日用品大手の英ユニリーバは19日、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)の一般用医薬品(大衆薬)部門の買収に乗り出している件について、買収額の引き上げに応じないと発表した。買収を事実上、断念した格好だ。

GSKは15日、ユニリーバから昨年12月に大衆薬部門GSKコンシューマー・ヘルスケアの買収提案を受けたが、500億ポンド(約7兆8,000億円)という買収額を不満とし、拒否したことを明らかにしていた。

GSKコンシューマー・ヘルスケアは、GSKが米ファイザーと大衆薬事業を統合し、19年に設立した合弁会社。GSK が68%、ファイザーが32%を出資している。鎮痛薬「パナドール」「アドビル」や制酸剤「タムズ」、歯磨きの「センソダイン」(日本名シュミテクト)などが主力製品だ。

GSKは21年、同部門を分離し、2022年半ばをめどにロンドン証券取引所(LSE)に上場させる方針を打ち出していた。消息筋によると、同社はGSKコンシューマー・ヘルスケアが上場すれば企業価値が1,000億ポンド程度に達する可能性があるとして買収提案を拒否しているが、ユニリーバが買収額を600億ポンド以上まで引き上げれば交渉に応じる用意があるとして、ユニリーバに上乗せを求めていた。

ユニリーバは17日の時点で、「戦略的に大いにフィットする」として、買収実現に意欲を示していた。しかし、19日に発表した声明で、GSKコンシューマー・ヘルスケアの「基本的価値に関する見解は変わらない。そのため、買収額を500億ポンド以上に引き上げるつもりはない」と述べ、買収を断念する意向を表明した。

ユニリーバの買収断念は、多くの株主が反対していたことが大きい。買収提案が明らかになってから下落していた同社の株価は、同発表後に急回復した。

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