イタリアの運輸インフラ会社アトランティアは17日、独シーメンスの高度道路交通システム(ITS)部門であるユネックス・トラフィックを買収することで合意したと発表した。道路などの運営で必要となるITSの強化が狙い。買収額は9億5,000万ユーロに上る。
ユネックス・トラフィックは道路・鉄道向けの交通信号、照明、料金システムなどを手がける企業。シーメンス傘下のシーメンス・モビリティの子会社だったが、2021年に分離され、社名をシーメンス・インテリジェント・トラフィック・システムズから変更した。
シーメンスは経営効率化のため事業再編を進めており、これまでに医療機器、エネルギー事業を分社化した。ユネックスの売却も決め、アトランティアのほか中国家電大手の海信集団(ハイセンス)、米投資会社KKRなどが買収に名乗りを上げていた。
最終的に、同じ交通インフラ系企業のアトランティアへの身売りを決めた。同社の傘下に入ることで、欧州の未進出の市場に参入することができ、さらなる成長が期待できると判断した。9月までの売却手続き完了を見込む。
アトランティアは欧州を中心に道路、空港などを運営する企業。主力の伊高速道路運営子会社アウトストラーデ・ペル・イタリア(ASPI)が18年に多数の死者を出した高架橋崩落事故を起こし、21年に国有化が決まったことから、新たな収入源を模索していた。